まどマギ

ハードボイルドが出来てしまう女性キャラが割と気になるもので、そういう女性キャラをえがくのはたいてい男性作家で(たぶん女性作家があまり描きたがらないタイプの女性?だろうで)ヘタをすると女性の外見を持った男だねぇと思わないこともないですが、そう思える面があっても女性キャラとしていいと感じているわけで…まあ好みの問題なんですが。

で、まどマギ。10話までみてのインターバルだったので11,12(最終話)ではいい具合に気持ちがこなれたり勢いが削がれていた状態だったりして、望んだ形ではないけれど、素晴らしく楽しめる作品だなあ、となりました。

正直、一回見ただけじゃ消化しきれず(いや今だ消化しきれてないけれど)、なんどか見返すことになりましたが……見返すことがまた気持ちのいいわけで。
インターバルがあったおかげもあって予め1話から見返せてたのは非常に大きかったです。
(10話を見た後に 1話を見ると、ほむらの心情がよくわかるようになっており、とくに、口元でミせる演出は 11話12話でも大事なところで使われるので意識できてよかったかな、と……) (以下ネタばれメモ)


贅沢をいえば魔法少女モノとして5人揃った絵に繋がるような、打ち解けた部分のあるものを観たかったという気持ちもあったわけですが……しかも、わりと既視感の多いSFネタをベースに使っている話に振っていて、ちょっとア〜ぁと落胆した気分がないというと嘘になるでしょうか。

なんというか、(メタとかSFとかに抵抗の少ない)男の子向けの作品として終わった感じです。少なくとも魔法少女を観るような女の子には向かわず……最初っから、といえばそうですが。魔法少女モノ内でのフォーマット破壊というよりジャンル外で魔法少女モノのガワを使った、といった趣に感じてしまいました。

ただ まどかにとっては魔法少女というものが非常に大きな存在だったわけですね。まどかの望む願いが、魔法少女システム自体の放棄ではなく、あまりにも報われない魔女化だけを無効化して法外な希望を叶えるシステム自体は残すことを選んだわけで、魔法少女になったマミやさやか、ほむらを無しに出来なかったわけで。

で、暁美ほむら。ハードボイルドできちゃう女の子ですね。みごとなくらい男の子してたんじゃないでしょうか。選択のミスも迷いも迷いの無さも後悔もやめられないあきらめの悪さも気持ちが伝わらなくても変われず初心を貫くしかない固さも。最後まで一途です。まるっきり少年が男になる話なのでは…少年なら。

さやかの命よりもさやかの祈りを優先する、まどかもいいオトコっぷりでしょうか。それを受け入れるさやかも。中学生がこんな潔く覚悟完了(相手の幸せを一番にした行動)しちゃ駄目だと思う反面、幼さ故の一途さでありかもですが、やっぱり哀しいものです。

"並行世界"ってのは、なかなか意地悪でした。しかもそれでもってまどかの強さを決定づける念の入れよう。単一時間軸でのやり直しならば失敗したルートは可能性の消失ですみますが、平行世界だとそこで死んだまどかが報われないまま(見捨てて)移行し続けていたことになるわけでほむらにも視聴者にも精神的負担がかかります。正直QBと話をするまでほむらが平行世界と確信していたかあやしい可能性もありそうですし。(でも結局はれさえも受け入れっちゃってる(覚悟)わけですが)

と、百合ものとしては、一応友情枠としておけばどんなに濃くても深くてもいい、というタイプの作品…というには十分に(絵的に)超えちゃんてますね。まどかほむらの話として非常に心奪われるものでした。(百合的にもハッピーエンドとは言いがたいかもですが)

平行世界等のすべてを見たまどかが、さやかに対する選択をしたように、ほむらに対してもまた最良の選択をしたであろうと思うのですね。(あるいは、10話3周目のようにほむらに対してだけはかなり甘えた独善的かもですが…存在としてシフトしてしまっていてもほむらに対しては私的であり続けるような) (10話3周目のまどかの願いですが、もし1,2週目同様まどかとほむらの出会いがまどかが魔法少女になった後のことだったとしたら、ほむらが病室にもどることぐらいを知っていたとしたら、まどかは、ほむらが魔法少女になる前の自分に会えるなんて思ってなかったんじゃないか、魔法少女として生きたまどかの願いとしては言葉額面通りじゃなかったんじゃないか(魔法少女になったまどかとしてQBにダマされないように)という可能性も思ったりしたのですが、12話を見るとほむらに対して弱音を見せていたでよいかな、と)。
ほむらにだけは呪いのように心を縛ったようにも見えますが、ほむらが魔法少女として生き続けるには(孤高にしか生きられそうにない彼女が全うするには)必要なコトなのかもなと思うのでした。