望月花梨 作品での百合関係

望月花梨の作品は、小中高の思春期前後の少年少女を扱った作品が多くて、微妙な歪さやエッジのある感じでしょうか。たまにインモラルなテーマを扱っていて、同性ネタもそういった流れで扱われている感じです。

女の子同士の一筋縄ではいかない感情を描いているものがいくつかありますが、百合というと違う感じかもしれません。


そうした中では、''『裸足めぐり』2話'' は、わりとはっきりとした百合作品でしょうか。

恋愛とまではいきませんが強く両思い話でしたし、好きな子の、好きな男の子を取ってしまうというのはパターンの一つでしょうし。(ついでに。1話は姉と男の子の話ですが 3話はほどよく姉妹話)


また、大好きな親友をその恋人を含め受け入れる''「境界」''(『コナコナチョウチョウ』)、大好きな女の子と男の子が恋仲になり一度に二人を失う喪失感を味わいつつ二人の幸せを祝う''「夏はまだこれからだし」''(『コナコナチョウチョウ」)なども、男の子への気持ちがありますが、女の子への気持ちもあるのでそれっぽいと思います。


''『Wの庭園』''は本筋は義弟との関係の話ですが、途中エピソードで(一時期) 主人公とべったりになる少女の話は百合的でしょうか。最終的にな二人の関係は百合的にはうれしくないかもですが、こういう着地のしかたが望月花梨らしい味という気もします。


''「呼吸」''(『鍵』)もちょっと特殊な女の子同士の友情、救いの話です。鉛筆のシーンの凄みやラストのつき物の落ちたような表情がよく、個人的には結構好きな作品でしょうか。


''「2人の距離」''(『欲望バス』)は、名前が一字違い(渡部亜沙子,渡部衣沙子)の二人が互いに嫌いあっている話で、負の感情ですが互いの強い感情をあつかった作品で最後のあたりは一寸気にかかります。