二宮ひかる『シュガーはお年頃♥』

シュガーはお年頃 1 (ヤングキングコミックス) シュガーはお年頃 2 (ヤングキングコミックス) シュガーはお年頃 3 (ヤングキングコミックス)


全3巻。はっきりしない引っかかる終わり方で、もやもやとした気分にさせられます。気になって検索すると打ち切りらしい?と疑われてたりしてるよう... ですが、浅見失踪後の3巻まるまるかけてラストに向かうわけで(次善の策の可能性もありますが) 狙って描かれたモノでしょうね。

この作品では妄想がいい具合に使われています。何度かハタナカの妄想が作中に介入しているため、おかげで夢で終わるエンディングも受け入れやすくなっていると思います。

ただ、1巻の妄想はどこから始まるか、微妙な気分にさせられますし、1,2巻でのハタナカの妄想は、実際にはハズレ扱い(否定)されていたりします(あとでその否定を否定するような話もあるけれど根拠が結局...で)。

なので、愛する人達のもとへ戻らない失踪の要因を想像するときにわりと容易に考えられる妊娠ルートが、ラスト直前にハタナカの妄想として描かれることで逆にありえないパターンとして示されているように思えてきます。

これがダメだと、追加の情報や余計な設定を想像しないかぎり、あまり想像したくない状況しか残されていないように思えてくるのですね...
(逆に否定はされてるけど全否定でなく真実も混ざっている、と考えるのもありかもですが...)

妄想関係は結構意地悪かもです。


ところで、タイトルを検索すると、スターダストレビューの曲がひっかかります。たぶん著者は何も表明されてないと思いますが(ちゃんと調べてないのでわかりませんが単行本の範囲では)、あとがきでの各話の歌についての言及やラストでの Fly me to the moon の歌詞への託し方を思うと、また曲自体の動画や歌詞をみていると、これを念頭においているのかなあ、と思えてきます。(女性言葉で二人称あなたなので、別に男女じゃなくても問題なさそうな歌詞ですし、二人はピーナッツをどう解釈するのか...単に似てるとか近しいとかそんな感じでしょうが...ザ・ピーナッツなんかを連想してしまうと...)。そう思うと、ちょっと苦味があるけれど甘いラブソングで始まり甘いラブソングで終わる話、なのかもしれません。