矢代まさこ「シークレット・ラブ」

初出は1970年(デラックスマーガレット昭和45年11月冬の号)。


敦子は小学校からの親友冬子に対し深い友情をいだいていると思っていたが、しかし冬子が想いを寄せる(けれど敦子を好いている)カメラマンの牧夫の出現により冬子への気持ちが恋心だったと気づいてしまう。そんな中、牧夫の気持ちが冬子に伝わってしまい...


私が入手したのは「'59〜'76少女漫画大全集」というアンソロジーで、これには作者のことばが載っていて、この作品について少し言及されています。

『シークレット・ラブ』を描いたの(1970年)は学園ドラマ大流行の頃で、自分なりの突張もあったのかもね。“エス”の世界を描きたかったんだけど、独善がりで、恥ずかしい。(略)

この当時の著者がエスとおもって描かれた作品ということは、エスがよくわかってない自分にとっては興味深いです。

矢代まさこ については「COMIC新現実」でのみなもと太郎の言及(「まんが学特講」という本になった模様)でしか知らなかったので、いい機会でした。(「'59〜'76少女漫画大全集」は 矢代まさこ以外にも上記でみなもと太郎が言及されている作家の作が結構載っていて個人的にはよかったです)

一番古そう?

百合姫vol.21 の百合ヒストリーアーカイブの年表をみていて、ふと、「シークレット・ラブ」が1978年に書かれているのがひっかかったのでした。初出は1970年なので... ググると1978年は単行本の年でした。
年表中、百合漫画として一番古いのは1971年の 山岸涼子「白い部屋のふたり」ですが(未読)、ググると 初出1971年 りぼんコミック2月号、単行本1973年 のようで、雑誌掲載は若干「シークレット・ラブ」のほうが早いようです。

どちらも最初期に苦労して世に出た作品というわけで些細なことでしょうし、未見の作も多く調べも不十分なのでこれらよりも古い作品はありそうに思いますが、ただ専門雑誌の性質的にそういう作品が他にあるのがわかっていれば年表に記入されているようにも思いますので、ちょっと気になったのでした。

※先の本の みなもと太郎の言及での 矢代まさこ と 24年組の関係 を連想してしまって、というのもあります。

2010-07-31追記:古い百合(エス)漫画としては1957年の貸本漫画「さくら並木」があるらしいです。