「白い部屋のふたり」

白い部屋のふたり 山岸?子作品集3 (リボンマスコットコミックス) レフトアンドライト-初期作品集- 山岸凉子全集 (28) あすかコミックス・スペシャル 1-28

山岸涼子「白い部屋のふたり」。1971年の作。(実際に読んだのは『レフトアンドライト』に収録されていたもの。追記:その後「白い部屋のふたり」のコミックスも入手)


レシーヌは両親の不幸で寄宿舎のある女学校へ転入、同室者のシモーンに出会う。シモーンは問題児だが魅力的でもありレシーヌは徐々に惹かれていき、一方シモーンもレシーヌを愛するようになる。がレシーヌは周りを気にしすぎ…


女の子同士の恋愛を描いた少女漫画としては今のところおそらく一番古い作品なのでしょうか。話の展開にしろ感情の激しさ(の表現)にしろ、なかなかに凝っていて、この時代の漫画としても抜きでてる部類だったのではと思います。時代のさだめとして悲劇ですが... 詩を用いた最後の束縛のダメ押しっぷり等よく。プレミア価格の古本を入手する価値があるかは微妙だろうで人それぞれでしょうが…私自身は読めてよかったです。


こちらをみますと、男同士のつもりで描いたが編集にokをもらうために女同士に変えざる得なかったようなことが紹介されていて、ちょっと皮肉な事情の中で生まれたモノでもあるようですが……女性同士がokだったのはやっぱりエス文化の影響のおかげなんでしょうかね。
ちょっと気になったのは1971年の作なので、大泉サロン(1970〜1972)に出入する前なのか後なのか…前ならこういうモノ描いている縁でとも思えてくるし、後なら環境の影響あったのだろうか?と…(出入の有無にかかわらず描いてるだろう人に思えますが)
こちらを見てますと山岸凉子氏がいつから出入かは不明のようなのでなんともですが。
追記2016.7.16:こっちで書いたけれど竹宮恵子自伝からすると「白い部屋のふたり」を描いた後に大泉を訪れた模様。



摩耶の葬列―一条ゆかり異色長編傑作選 (集英社文庫―コミック版)
ついでですが。
一条ゆかり『摩耶の葬列』(1972)の2005年の文庫版巻末の著者インタビューによると、『摩耶の葬列』は当初横溝正史系のミステリーを構想し最後まで考えてみたところ描きたくないようなじめじめした話になったので“ちょっとレズビアンっぽい話”にしてみた、というコトのようです。わりとあっけない一言ですが、128P作品を連続6ヶ月雑誌(の付録本)に掲載するという雑誌社側の無謀な計画をやり遂げるほどの実力があり(『摩耶の葬列』はその激務の中での1作)、当時すでにリボンの看板作家だったためわりと自由がきいたようです。(どさくさ紛れ的に尖ったことをされていた面もありそうに思えますが)


竹宮恵子氏が「風と木の詩」を連載するためにアンケートの上位になることを決意する話(『70年代マンガ大百科』-「キャベツ畑の革命的少女マンガ家たち」)等思うと、百合系作品は(後はともかく)出だしはちょっとは恵まれていたのだなあ、という気もするのでした。